夜のルアー釣りは、昼間とは異なる魅力を持つ釣りです。日没後は魚の警戒心が薄れ、想定外の大物がヒットする可能性が高まります。また、日中は釣れにくい魚種も活性化するため、新たな釣りの楽しみ方を発見できるでしょう。

特に防波堤からの夜のルアー釣りは、初心者でも始めやすい特徴があります。足場が平らで安全なうえ、常夜灯に集まる小魚を狙って様々な魚が接近してくるため、アジやサバから、時にはブリの若魚やシーバスまで狙うことができます。
この記事のポイント!
- 夜の魚がルアーを見つける仕組みと効果的なルアーの選び方
- 夜釣りで狙える代表的な魚種と時期・時間帯
- 防波堤での夜釣りに必要な基本タックルと便利なアイテム
- 常夜灯周りでの釣り方のコツと注意点
夜のルアー釣りで狙える魚種と基本の仕掛け
- 魚は夜でもルアーを見つけることができる
- 夜の方が警戒心が薄れて釣れやすい理由
- 夜のルアー釣りに最適な時間帯とは
- 夜釣りで狙える主な魚種を解説
- 防波堤での夜釣りが初心者におすすめな理由
- 夜のルアー釣りに必要な基本タックル
魚は夜でもルアーを見つけることができる
魚は暗闇でもルアーを視認することができます。人間とは異なる感覚器官を持っており、視覚以外にも聴覚や側線と呼ばれる器官を使って周囲を感じ取る能力があります。
月明かりや常夜灯の光が水面や水中を照らすことで、ルアーのシルエットや動きを認識できます。また、タペタムと呼ばれる反射板のような構造が魚の目にあるため、光を効率的に捉えることができます。
さらに、魚は水中の振動を敏感に感じ取るため、波動を発生させるルアーや音を出すルアーは効果的です。これにより、視覚的に見えなくても、振動や音によってルアーの存在を感知することができます。
実際に、6cmほどの小型のシンキングペンシルを夜に投げた際に、60cm超のシーバスが立て続けに食ってきた事例もあります。アクションが控えめで、透明な色のルアーでも、魚はしっかりと見つけることができるのです。
水面からルアーを見上げると、月明かりによって照らされてシルエットがはっきり見える場合があります。このため、表層や中層付近を泳ぐルアーを選ぶと、魚がルアーを見つけやすくなります。
夜の方が警戒心が薄れて釣れやすい理由
日中は周囲の騒音や釣り人の姿に警戒心を持つ魚も、夜になると警戒心が薄れる傾向にあります。これは、視界が限られ、人の活動も少なくなることが要因です。
夜は釣り人が少ないため、魚の警戒心が薄れやすい環境となります。日中は近づかないような魚も、夜間なら防波堤近くまで接近してくることがあります。
常夜灯の光に集まるプランクトンを小魚が追いかけ、その小魚を大きな魚が追う、という食物連鎖の環境が作られます。このため、日中よりも多くの魚が集まりやすい環境となります。
また、夜行性の魚は夜間に活性が上がります。カサゴやアナゴなどは、夜釣りでこそ釣果が期待できる魚種です。
夜釣りでは、昼間には出会えないような大物が釣れる可能性も高くなります。ただし、完全な暗闇や水が濁っている状況では視覚に頼ることが難しくなるため、ルアーの動きや音を工夫する必要があります。
夜のルアー釣りに最適な時間帯とは
夜釣りで最も釣果が期待できる時間帯は、日没前後の「夕マズメ」と日の出前後の「朝マズメ」です。この時間帯は魚の活性が最も高まります。
特に夕方から日没後にかけては、日中警戒心の強かった魚も活発に動き始めます。エサとなる小魚も活発に動き始めるため、それを狙って大型の魚も動き出します。
日没後は、常夜灯周辺で小魚が群れを作り始めます。この小魚を狙って大型魚が接近してくるため、明暗の境目を狙うと効果的です。
夜釣りは日没後から早朝の日の出までの時間帯で行えますが、最も釣果が期待できるのは日没直後の2-3時間と言われています。深夜になると魚の活性が下がることもあり、食い渋る場合もあります。
ただし、アナゴなど夜行性の強い魚種は、深夜でも活発に活動します。狙う魚種によって、最適な時間帯を選ぶことが重要です。
夜釣りで狙える主な魚種を解説
夜釣りでは、様々な魚種を狙うことができます。アジやサバなどの小型青物は、春から晩秋にかけて成長していくため、長期間楽しむことができます。
ブリの若魚であるワカシやイナダ、スズキの若魚であるセイゴやフッコなども、夜間によく釣れます。特に常夜灯周辺の小魚を狙って接近してくることが多く、ルアーへの反応も良好です。
タチウオは夏の終わりから晩秋までが狙い目です。当たりの強さが魅力的で、食味も良好です。ただし、鋭い歯を持つため、取り扱いには充分な注意が必要です。
カサゴやソイなどの根魚も、夜のルアー釣りのターゲットとなります。これらの魚は、ワームタイプのルアーで岸壁際から海底までを探ることで狙えます。
アナゴは完全な夜行性の魚で、夜釣りでこそ本領を発揮します。河口域や防波堤周辺で狙うことができ、食味も非常に良好です。
防波堤での夜釣りが初心者におすすめな理由
防波堤は初心者が夜釣りを始めるのに最適な場所です。足場が平らでしっかりしており、滑りにくい特徴があります。波をかぶりにくい高さもあり、安全に釣りを楽しむことができます。
潮通しが良く、多くのアングラーが釣りをすることで常に魚のエサを撒いているため、魚が集まりやすい環境です。イワシやアジ、サバなどの青魚が群れで回遊してくることも多く、それを追って大型魚も接近してきます。
交通の便が良く、アプローチが容易なのも特徴です。危険な岩場を歩いたり、渡船で岩礁に渡る必要がなく、近隣の駐車場から平坦な舗装路を歩いてアクセスできます。
常夜灯が設置されている場所が多く、光に集まる小魚を狙って様々な魚が接近してきます。このため、初心者でも比較的釣果を得やすい環境となっています。
夜間は人が少なく静かな環境となるため、魚の警戒心も薄れ、昼間よりも良い釣果が期待できます。また、夏場は涼しく快適に釣りを楽しめるのも魅力です。
夜のルアー釣りに必要な基本タックル
夜のルアー釣りに必要な基本タックルは、主にロッド、リール、ライン、ルアーです。初心者は、ライトゲーム用のタックルから始めるのがおすすめです。
ロッドは、短く軽量なものがアジ・サバ狙いに適しています。リールは初心者向けにスピニングリールがおすすめで、アジ・サバ狙いなら1000番、シーバスや青物の幼魚を狙う場合は2000番が適しています。
ラインは、ナイロン、フロロカーボン、PEラインから選べます。初心者には扱いやすく魚がバレにくいナイロンラインがおすすめです。フロロカーボンやPEラインは魚の動きが敏感に伝わりますが、バレやすい特徴があります。
ルアーは、ハードルアーとソフトルアーに大きく分かれます。魚の形を模したミノーやクランクベイト、ポッパーなどのハードルアー、ゴカイやエビ等に似せたワームがソフトルアーです。
便利なアイテムとして、プライヤーとフィッシュグリップは必須です。プライヤーはフック交換や魚外しに、フィッシュグリップは鋭い歯を持つ魚の取り扱いに重宝します。

夜のルアー釣りを成功させるコツと対策
- ケミホタルの効果的な使い方と注意点
- 夜釣りで使うルアーの色選びのポイント
- 常夜灯周りでの攻め方と釣果が上がるコツ
- シーバスやヒラメを狙うためのルアー選び
- メタルジグとワームの使い分け方
- まとめ:夜のルアー釣りで確実に釣果を上げる方法
ケミホタルの効果的な使い方と注意点
ケミホタルは夜釣りでの視認性を大幅に向上させる重要なアイテムです。折ることで発光する化学ライトで、ルアーや釣り糸、ウキなどに簡単に取り付けることができます。
専用のホルダーやバンドを使用してケミホタルを固定することで、ルアーが水中で動いても外れにくく、安定した発光を維持できます。暗い水中でも魚に対して視覚的なアピール力を高めることができます。
ルアーがどの位置にあるのかを釣り人自身も確認しやすくなるため、操作のしやすさが向上するというメリットがあります。表層を狙う場合や、常夜灯のない真っ暗な場所での釣りにおいて、特に効果を発揮します。
ただし、ケミホタルの明るさが強すぎる場合、魚に警戒心を抱かせてしまう可能性があります。そのため、状況に応じて光の強さを調整したり、使用するタイミングを選ぶことが重要です。
発光時間には限りがあるため、長時間の釣行では予備を用意しておくと安心です。また、使用済みのケミホタルは適切に処分することも忘れないようにしましょう。
夜釣りで使うルアーの色選びのポイント
夜間は視界が限られているため、ルアーの色選びは釣果を左右する重要な要素となります。アピール系カラーとナチュラル系カラーの2種類から状況に応じて選択します。
アピール系カラーは、ピンクやライムグリーン、蛍光カラーなど、目立つ色を指します。曇りやマズメ、夜間などの光量が少ないときや、潮が濁っているとき、魚の活性が高いときに効果的です。
ナチュラル系カラーは、オリーブやブラウン、グリーン、ブルーなど、自然界に存在するものに近い色です。晴れていて光量が多いときや、潮が澄んでいるとき、魚の活性が低いときに使用します。
夜釣りでは特に、光を反射するホログラムカラーやグローカラーが効果的です。わずかな光でも反射して魚の目を引きやすく、視認性が高まります。水面が暗い場所では、目立つカラーでアピールすることが成功のカギとなります。
また、魚の警戒心が強い状況や、潮が澄んでいるときにはナチュラル系カラーも有効です。状況に応じて使い分けることで、より多くの釣果を期待できます。
常夜灯周りでの攻め方と釣果が上がるコツ
常夜灯周辺は夜釣りの絶好のポイントとなります。光に集まるプランクトンを小魚が追い、その小魚を大きな魚が追うという食物連鎖が形成されるためです。
明るい部分と暗い部分の境目が特に重要で、この境界線上をルアーが横切るように投げ入れると効果的です。また、暗い場所から明るい場所に、あるいはその逆にルアーを動かすことで、魚の捕食本能を刺激することができます。
リトリーブのスピードは、基本的にゆっくりと行うことをおすすめします。魚は夜間、水中の波動を感じ取りやすくなっているため、時折ストップ&ゴーのアクションを入れることで、より効果的なアピールが可能です。
潮の流れにも注意を払う必要があります。潮の変わり目や、潮が速くなるタイミングでは魚の活性が上がりやすいため、特に注目すべきタイミングとなります。
常夜灯周辺では他の釣り人もいる可能性が高いため、ライトの使用には十分な配慮が必要です。むやみに水面を照らすことは避け、必要最小限の照明にとどめましょう。
シーバスやヒラメを狙うためのルアー選び
シーバスは夜行性が強く、夜釣りの主要なターゲットとなります。トップウォータープラグやフローティングミノーが効果的で、特に常夜灯周辺での釣果が期待できます。
ヒラメの場合は、砂地や浅瀬をメインに狙います。フローティングミノーやシンキングミノーを使用し、中層から低層を攻めるのが基本となります。視認性の高いホログラムカラーやグローカラーのルアーを選ぶことで、ヒラメへのアピール力が高まります。
リトリーブは基本的にゆっくりと行い、定期的にストップ&ゴーのアクションを入れることが重要です。これにより、魚の捕食本能を刺激し、バイトのチャンスを増やすことができます。
シーバスの場合は風が強い日や潮が速い日には、少し重めのルアーを使用することで、ルアーが流されにくくなり、狙ったコースをトレースしやすくなります。ヒラメは特に潮の動きが強まるタイミングで活性化することが多いため、潮を見極めることが重要です。
両魚種とも夜間は警戒心が薄れ、岸近くまで接近してくる傾向があります。ただし、シーバスは鋭い歯を持つため、ラインやリーダーの選択には注意が必要です。
メタルジグとワームの使い分け方
メタルジグは遠投性に優れ、広範囲を探ることができるルアーです。特に青物を狙う際に効果的で、速いリトリーブにも対応できる特徴があります。
夜釣りでのメタルジグは、蛍光系やホログラムカラーを選ぶと効果的です。わずかな光でも反射して目立ちやすく、魚の視覚を刺激します。暗い場所では、目立つカラーでアピールすることが重要です。
一方、ワームは活性の低い魚にも効果的です。特にメバルやカサゴなどの根魚を狙う場合、自然な動きを演出できるため、魚に違和感を与えにくいというメリットがあります。
ワームを使用する際は、ジグヘッドリグが基本となります。ボトムをゆっくり探ることができ、夜行性の魚がいる場所を効率的に攻めることができます。発光タイプのワームやグローカラーのワームを使用すると、暗い水中でも魚に見つけてもらいやすくなります。
リトリーブはゆっくりと行い、一定の間隔で止める動き(ストップ&ゴー)を取り入れることで、より効果的なアピールが可能です。
まとめ:夜のルアー釣りで確実に釣果を上げる方法

最後に記事のポイントをまとめます。
- 魚は夜間でも側線や聴覚を使ってルアーを感知できる
- 夜は魚の警戒心が薄れ、想定外の大物が釣れやすい
- 朝マズメ・夕マズメが最も釣果が期待できる時間帯
- 常夜灯周辺は小魚が集まり、良いポイントとなる
- ケミホタルの使用で視認性とアピール力が向上する
- アピール系カラーは暗いときや濁りがある時に効果的
- ナチュラル系カラーは魚の警戒心が強い時に有効
- メタルジグは青物、ワームは根魚に効果的
- 防波堤は安全で初心者に適した釣り場
- ライフジャケットやヘッドライトは必須の装備
- 他の釣り人への配慮とマナーを忘れずに
- 魚種に応じたタックルの選択が重要